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幽霊の正体見たり枯れ尾花 〜ブログ更新終了のご挨拶〜

人は正体がわからないものを怖がります。放射能は目に見えず、影響もよくわかっていないことから、それだけで怖くなります。ましてや、将来確実にガンになるとか、奇形児が増えるなどと聞けば、そんなはずはないと頭では理解しつつも、心穏やかではいられません。

原発事故から2〜3ヶ月は情報が錯綜し、多くの人が混乱していました。ただでさえ震災で気持ちが沈んでいるのに、放射能に怯える人びとや学者、著名人がインターネットで不安を増長させ、多数のデマが飛び交い、何が正しいのかわからない状況が続きました。そのような中、ネットの情報を見てはストレスを溜めさらに不安を広めるという、負のスパイラルに陥る人が少なくありませんでした。

人々の不安に乗じる形で、学者や芸能人の「教祖」が生まれました。誰かを批判することで得られたカリスマ性は、批判し続けることでしか維持できません。その批判対象は、当初は国や自治体、東電でしたが、次第に農家や漁師に向けられました。同じ日本人なのに、互いに傷つけあうさまは見るに耐えませんでした。


このブログは、そのような状況の中で、実際に不安を抱えている人たちとの対話から生まれました。苦しむ人たちを間近で見て、疑問に答えようと自身が勉強する中で分かったことがいくつかありました。それを説明することで、不安を和らげることができるのを見てきました。そこで、その内容が広まれば、同じように苦しむ人の役に立つのではないかと考えました。


現在、原発事故から9ヶ月が経過し、状況はかなり落ち着いてきたように見えます。2012年4月から食品の新しい規制値を適用することが決まりました。ゆっくりとではありますが、自治体や国の除染も始まっています。食品汚染の測定も進み、実際の食事からの被曝量がそれほど多くないことも分かってきました。正確な情報の量が増えたことで、適切な判断ができる状況が整ってきました。

一方、私のほうでも書きたいことはまだあるのですが、本ブログで心がけてきた「公平・正確を期し、出典を明らかにする」「いただいたコメントは批判的なものを含めすべて公開し、できるだけ回答する」という行為は非常に時間がかかる作業であり、その時間を捻出するのが難しくなってきました。


ブログ記事へのコメントを見ると、一時期よりは落ち着いたようですが、まだまだ放射能を過度に危険視する方もおられるようです。そういう方々も被害者であることや、その先の風評被害者のことも考えれば、なんとかしたいという思いはあるのですが、放射能をどこまで許容するかが人によって異なる以上、当面の解決は難しい問題であり、どれだけ言葉を尽くそうと、私の力でどうこうできるものではないと痛感しています。


まだまだ書きたいことはあったのですが、これらを総合的に考慮し、そろそろこのブログをやめてもいい時期だと判断しました。ありがたいことに、多くの方にこのブログを読んでいただき、励ましのコメントを多数いただきました。批判のご意見もありましたが、それだけ反響があったということであり、当初の目的は果たしたのではないかと思っています。

これまでの記事とコメントは現状のまま凍結しますが、新規のコメントは受け付けないことにしたいと思います。引用や転載は自由に行っていただいて構いません。


東日本の海岸は、津波によって引き裂かれ、放射能に汚染されてしまいました。復興には何年かかるかわかりませんが、いつの日かまた釣りに行き、元気なアイナメ(greenlig)に会える日が来ることを心から願っています。これまで本ブログをお読みいただき、ありがとうございました。


当面のメールアドレス:
grnlig-radアットマークyahoo.co.jp ("アットマーク"は@で置き換えてください)

at 13:58, greenlig, 放射線

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基準値見直しだそうだが


28日、「セシウムの基準値を引き下げ検討」が発表された。これまでは、基準値いっぱいまでセシウムを摂取しても年間の被曝量が5ミリシーベルトを超えないように設定されていた。これが、年間1ミリシーベルトを超えないように厳しくするということなので、大雑把に言えば、暫定基準値の5分の1になるということだ。また、乳児用食品など、もう少しきめ細かく基準を設けることも検討するようだ。

ベラルーシなどは数年かけて徐々に基準値を引き下げてきたわけだが、これが実現すれば、たった1年での大幅な引き下げになり、歓迎すべきことだ。現在の汚染度を見ても、ほとんどは新基準をクリアできるだろうから、大きな混乱はないように思われる。そもそも今回の引き下げ理由のひとつが、「食品の放射性物質の検査数値が低下傾向である」というものなので、大丈夫と見込んでのものであろう。


ただし、ひとつ大きな問題がある。それは、食品安全委員会が、27日になって、内部被曝だけで100ミリシーベルトで健康に影響が出る」と修正したことだ。これまでは「外部被ばくと内部被ばくを合わせて生涯100ミリシーベルトで健康に影響が出る」としてきたのを覆した形だ。

しかし、被曝の危険性は、内部被曝と外部被曝を合わせて考えるべきであり、

「外部被曝については知らないが、内部被曝だけなら生涯100ミリシーベルトまでOK」

という理屈はあきらかにおかしい。放射性物質で汚染されていない地域に人にとってはこの基準でもいいだろうが、汚染地域に住む人はそういうわけにはいかない。

食品安全委員会は、外部被曝について「しかるべき機関において適切な措置を講ずべきものと考えている」としているが、つまり「うちでは知りません」ということだ。これはどう見ても縦割り行政そのもので、小宮山厚生労働大臣ならびに今回の件を内諾したであろう野田総理大臣の意識の低さを如実に表している。


今回の基準値見直しの理由のひとつに、「食品の国際規格を決めるコーデックス委員会が年間1ミリシーベルトを超えないよう食品の基準を設定している」というものがあるが、つまりは、国際基準に合わせるために内部被曝だけで100ミリまでOKにしたということではないのか。海外の国の多くは原発事故による外部被曝がないから、内部被曝だけを考えれば良いが、日本はそうはいかないのだ。

現在、政府は福島を中心とする地域を除染して年間1ミリシーベルト(外部被曝)を目指すとしているが、たとえそれが実現しても、内部と外部を合わせて2ミリシーベルトになる。これでは、また「足し算ができない」と批判されるのは確実である。


at 07:04, greenlig, 放射線

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セシウムの致死量は?


「放射性セシウム137が500Bq/Kg含まれた食品を3年食べたら致死量に達する」


ということを言っている人がいるらしい。もしこれが本当なら、日本と基準値がほぼ同じで、チェルノブイリ事故で食品が汚染されているヨーロッパの人はバタバタ死んでいそうなものだが、そういう話は聞いたことがない。いっぽう、中部大学の武田教授によれば、セシウムの半数致死量は0.1ミリグラムだそうだ (※1)。0.1ミリグラムというと、見た目には食塩1粒ぐらいだ。それだけで2人に1人が死ぬというのなら、なるほどセシウムは猛毒ということになる。

そこで、基準値ぎりぎりのセシウム入り食品を何年間食べたら 0.1 ミリグラムになるのかを計算してみた。セシウムの暫定基準値と成人の1日平均食品摂取量は以下のとおりだ。


食品群 飲料水 牛乳・
乳製品
野菜類 穀類 肉・卵・魚
その他
暫定規制値(ベクレル/kg) 200 200 500 500 500
成人の1日平均摂取量(Kg) 1.65 0.2 0.6 0.3 0.5
摂取する放射能(ベクレル) 330 40 300 150 250
成人の平均摂取量はこちらの数値を使用した。


したがって、一番下の行を合計すると、1日あたり 1070 ベクレルのセシウムを摂取することになる。1年間だと 390,550 ベクレルだ。

ところで、Wikipedia によれば、1グラムのセシウム137の放射能は3.215テラベクレル (3.215 x 1012 ベクレル) なので、半数致死量であるという 0.1 ミリグラムだと 3.215 x 108 ベクレルだ。これを年間摂取量の 390,550 ベクレルで割ると、823 年となる。

つまり、武田教授の話を信じるとすれば、

「セシウムが基準値ぎりぎりまで入った食品を823年間食べ続けると、半分の人が死ぬ」

ということだ(※2)。逆に言えば、それだけ食べ続けないと半数致死量にならないわけで、3年程度ではまず死なないと言っていいだろう。


0.1ミリグラムと聞くと、暫定基準値ぎりぎりの食べ物を食べ続けていたら、すぐにそのぐらいになるのではないか思うかもしれないが、実はそれだけの量になるには 823 年もかかるのである。現状の食品汚染レベルがだいたい数十ベクレルぐらいであり、水道水が不検出であることを考えれば、何も考えずに東日本の食品を食べても数千年はかかる計算になる。

サスペンスドラマなどでよく見かけるように、青酸カリ200ミリグラム(※3)をお茶に混ぜて人を殺すのはいとも簡単だ。しかし、0.1 ミリグラムのセシウムを一生の間に摂取するのは、福島原発のごく近くの山で野生のきのこ狩りやイノシシ狩りを一生続けたとしてもほぼ不可能だ。



※1 こちらのページに詳しいが、実際にはこれも怪しい。

※2 正確には、「セシウムが基準値ぎりぎりまで入った食品の823年分を一度に食べ、すべてのセシウムが一度に崩壊して放射線を出した場合に半分の人が死ぬ」である。なお、スターウォーズの「ヨーダ」が800歳ぐらい。

※3 200ミリグラムは青酸カリの半数致死量。


at 11:25, greenlig, 放射線

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宮城の米の測定結果

秋刀魚がうまい季節になってきた。毎年この時期に、焼きたての秋刀魚に大根おろしを乗せて新米をほおばると、日本人に生まれてよかったと思うものだ。

これまで何度か宮城の米の放射性物質の予測をしてきたが(こちらこちら)、宮城県の米の放射性物質の本調査が完了したので、宮城県内で米の生産量が多い上位 10 の市町村について、玄米中の放射性セシウムの測定結果をまとめてみた。

市町村名

結果
(ベクレル/キログラム)
宮城県の生産量
に占める割合(%)
登米市 すべて不検出 16
大崎市 すべて不検出 15
栗原市 不検出 52 地点
検出 7 地点 (20.3〜24.2)
14
石巻市 すべて不検出 9
加美町 すべて不検出 5
美里町 すべて不検出 5
仙台市 すべて不検出 4
角田市 すべて不検出 3
涌谷町 すべて不検出 3
亘理町 すべて不検出 3

※1 生産量については、22年産の収穫量を基にした。
※2 「不検出」とは、放射性物質が存在しない、
      又は定量下限値(20ベクレル/kg)未満であることを示す。

このように、宮城県全域で、不検出または基準値(500ベクレル/キログラム)よりも大幅に少ないという結果になっている。農家の方は一安心といったところだろう。


「不検出でも 19 ベクレルだったらどうするんだ!」

という人もいるかもしれないが、精米すると放射性物質の量が 1/3 ぐらいに減るらしいので、玄米で 19 ベクレル/キログラムなら白米では 6 ベクレル/キログラムになる。このレベルになると、自然の放射性物質の量よりも少なく、1 年間食べても約 0.005 ミリシーベルトだ。仮にそういう米が多少混じっていたとしても、まず問題はないだろう。

宮城の米は大丈夫と言ってよさそうだ。


なお、宮城県以外の米の本調査の結果は次のとおり。

山形県秋田県岩手県青森県栃木県埼玉県新潟県:すべて不検出
茨城県千葉県群馬県: おおむね不検出または微量
福島県: 検査中

(県名クリックで各県の調査結果にジャンプ)


at 10:59, greenlig, 放射線

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内部被曝は外部被曝の何倍?(その2)

「年間 1 ミリシーベルト」というのは、今や誰でも知っている言葉だ。これは原発事故前から日本の法律で決まっている一般人の年間被爆限度であり、その基になっているのは、ICRP (国際放射線防護委員会) の勧告である。

ICRP は民間の組織だが、このように日本をはじめとする世界各国の法令の基になっていて、国連や WHO とも関係があるなど、原発推進派寄りだという批判はあるものの、現在主流となっている考え方だ。前回の説明で使った考え方や数値も、ICRP の勧告に基づいている。

ICRP では、同じ被曝量(シーベルト)の場合、内部被曝と外部被曝の危険度は同じという考え方をしている(※1)。つまり、

「内部被曝の1ミリシーベルトは外部被曝でも1ミリシーベルトであり、ガンになるリスクも同じ」


ということだ。シーベルトという単位は、体が受けるダメージを数値化したものなので、当然と言えば当然だ。


これに異を唱えているのが ECRR (欧州放射線リスク委員会)という団体だ。ECRR の主張は、

「内部被曝のリスクは外部被曝のリスクの 600 倍あり、ICRP が言っていることはウソだ」


というものだ。どうやら、「内部被爆は外部被曝の XX 倍危険」という説はここから来ているようだ。

ECRR は、ICRP を批判するために設立された比較的新しい団体であり、その主張は世界的には少数派だ。また、いわゆる左翼とされる緑の党と関係があるなど、科学的というよりは思想的であるとして批判されている。日本の政党にたとえれば、ICRP が自民党なら ECRR は社民党といったところだろうか。

ECRR が内部被曝に重みを置く根拠の 1 つとして「内部被曝では細胞が近距離から局所的にダメージを受ける」ということを挙げているが、ICRP ではそれを否定しているようだ(※2)。


一般人である私には、双方の勧告を読んでも内容を理解できないし、ここでどちらが正しいと主張するつもりもない。ただ、「内部被曝は外部被曝よりXX倍危険」という説は、少なくとも現時点では1 つの仮説に過ぎないということは言えそうだ。



※1  『放射性物質による内部被ばくについて』に以下のように記載されている。

「このように内部被ばくによる線量と外部被ばくによる線量とを加算することが可能なのは、LNT モデルと、外部被ばくと内部被ばくは線量が同じであれば同じリスクであるという前提に基づくからである。」


※2 上と同じ文書に以下の記述がある。

「このような場合、放射性粒子の周囲の線量が細胞死を誘発する線量を何倍も超える高い値となる可能性があり、却ってがん化のリスクが低下する。また、その放射性粒子と同じベクレルの放射性物質が均一に分布している臓器・組織よりもリスクを考慮すべき放射線を受けた細胞の数が少なくなることから、ICRP は、’”ホットパーティクル”によるがんの発生確率は、平均吸収線量からの推定と同じかそれよりも低いと考えている。」

要約すると、「局所的に被爆すると、DNA が破壊されるのではなく細胞が死ぬので、かえってガンになりにくいと」いうことらしい。

at 09:46, greenlig, 放射線

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内部被曝は外部被曝の何倍?(その1)

「内部被曝は外部被曝のXX倍危険!」という書き込みが見られるが、これは本当だろうか。それは何を根拠にしているのだろうか。

これについて理解するには、よく耳にするベクレル、シーベルト、外部被曝、内部被曝が何なのかを理解する必要がある。ここでは、これらの概念についてできるだけわかりやすく簡単に説明する。


シーベルト

シーベルトという単位は、人間の体が放射能でどのぐらいのダメージを受けるかということを数値にしたものだ。ロールプレイングゲーム風に言うと、「セシウムから10マイクロシーベルトのダメージを受けた!」となる。

なお、「ミリ」は 1000 分の 1、「マイクロ」は 100 万分の 1 だ。


ベクレル

ベクレルというのは、放射性物質が1 秒間に何回放射線を出すかという単位だ。ロールプレイングゲームにたとえれば敵の数だ。「100ベクレルのセシウムがあらわれた!」ということになる。


外部被曝の計算

外部被曝は、主に土の中に混じっている放射性物質からの被爆だ。そこに長くいればいるだけ被爆する。外部被曝量は、

  放射線の強さ × そこにいた時間の長さ

で計算できる。たとえば、ガイガーカウンターで 0.1 マイクロシーベルト/時と表示される場所に1年間いたら、

  0.1 × 24時間 × 365日 = 876 マイクロシーベルト/年 = 0.876 ミリシーベルト/年

となる。


内部被曝の計算

内部被曝は、放射能という「敵」を食べたときに体が受けるダメージだ。ロールプレイングゲームでは、1 ターンに受けるダメージの量は、

  敵の数 × 敵の強さ

となる。これを、戦闘終了まで足し算すれば、その戦闘で受けるダメージになる。

実際の内部被曝量の計算では、敵の強さは実効線量係数というもので表される(※1)。これを使ってかけ算すると、内部被曝量 (預託実効線量) がわかるようになっている。

  内部被曝量 (シーベルト) =  放射能の量(ベクレル)× 実効線量係数

たとえば、「今日は 50 ベクレルくらいセシウムを食べたかな」と思ったら、体が受けるダメージは

  50 × 0.00001.3 = 0.00065 ミリシーベルト

となり、同じ量を 1 年間食べ続ければ 365 日を掛けて 0.237 ミリシーベルトになる。こうやって計算した内部被曝と外部被曝を足すことで、全体の被曝量がわかる。

なお、内部被曝の場合、食べた放射性物質は徐々に体から排出されるが、いつまでたってもゼロにはならない。そのため、上の計算で得られる数値は、一生にわたる被曝量を表している。

9月13日に、福島の30キロ圏の住民の被爆状況が公表されたが、ここで使われている「ホールボディカウンター」は、内部被曝量を測定するものだ。


(次回へ続く)

※1 実効線量係数には、物理学的半減期、生物学的半減期、人体の組織の影響度合い、放射線の種類による違いが考慮されている。



at 09:43, greenlig, 放射線

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食品の中のカリウム40


「ベラルーシと日本の放射能に対する感覚の差」という記事の中で、ベラルーシの牛乳に天然の放射性物質であるカリウム40が結構入っていることを書いた。

カリウムは生物にとっての必須元素の 1 つだが、天然カリウム中には 0.0117 %の割合で放射能を持つカリウム 40 が混じっている。そこで、「栄養素別食品一覧」を基に、普段から食べているいろいろな食品にどのぐらいの放射能があるのかを調べてみた。

食品 100g中の
カリウム(mg)
カリウム40
からの放射能
(ベクレル/キログラム)
セシウム137に
換算した放射能
(ベクレル/キログラム)
ごはん(玄米) 95 28 14
納豆 660 200 100
牛乳(普通) 150 45 22
たまご(生) 130 39 19
小麦粉(薄力粉) 120 36 18
じゃがいも 340 103 51
さけ(生) 400 121 60
さんま 200 60 30
牛ひれ肉(和牛) 340 103 51
鶏ささみ 420 127 63
ほうれん草 490 148 74
キャベツ(生) 200 60 30
ミニトマト 290 88 44
焼きのり(※) 2400 729 364
ひじき(乾)(※) 4400 1337 668
※海苔やひじきのような乾燥ものは、水分蒸発により見かけ上の数値が高くなってしまうので、あくまで参考


100g中のカリウム」の欄は「栄養素別食品一覧」のものである。「カリウム40からの放射能」の欄は、こちらのページにある「カリウム1グラム当りの放射能強度は30.4 Bq である」との記述から、以下の式で計算した。

  100g中のカリウム × 10 × 30.4 ÷1000

「セシウム137に換算した放射能」の欄は、「カリウム40からの放射能」の欄を 2 で割ったものだ。これは、セシウム 137 はカリウム 40 よりも体への影響 (実効線量係数) が約 2 倍 (つまり 2 倍強い) であるためだ


この表は、たとえば「玄米 1 キログラムには 28 ベクレルのカリウム 40 が含まれているが、これは 14 ベクレルのセシウム 137 が入っているのと同じ」ということを示している。

「今まで日本の農作物には原則として「放射性物質」は含まれていないかった。」と言っている人もいるが、それは誤りであり、カリウム 40 は原発事故の前から内部被曝の主な要因の 1 つだった。正しくは、

放射能は以前からもあったが、原発事故によってその量と種類が増えた

ということである。我々は、原発事故が起きる前まで身の回りに放射能があるなどという知識はほとんどなく、知らないうちにある程度の放射能を許容してきたわけで、上の表を見れば、「1 ベクレルたりとも許さない」という議論はほとんど意味がないことがわかる。被爆をゼロにしようと思ったら「何も食べるな」となってしまう。考えるべきは、「あとどの程度なら許容できるか」ということだ。


at 11:24, greenlig, 放射線

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ヨウ素はどこから来た

最近になってからも、各地で放射性ヨウ素が検出されている。放射性ヨウ素の半減期は 8 日と短いため、3 月の水素爆発のときに放出されたヨウ素はもうほとんどなくなっている。それなのにこの時期に放射性ヨウ素が検出されるのはおかしいわけだ。そこで、

「まだ原発から大量の放射能が出ているのではないか」

とか、「その事実を政府や東電が隠しているのではないか」という不安が広まっているようだ。さらに、原発から遠く離れた長崎でもヨウ素が検出されている

しかし、もし原発から放射性物質が大量に飛んでいるのであれば、当然浄水場でも検出されるはずだし、同時にセシウムの数値も上がるはずだ。だが、実際にはそうなっていない。原因は別のところにあることになる。


実は、ヨウ素131は核医学において甲状腺ガンやバセドウ病の治療に利用されている(※1)。ヨウ素は甲状腺に集まる性質があるため、放射性ヨウ素を人体に投与すれば、それが出す放射線で甲状腺のガン細胞が破壊される。このような治療を受けた患者が出す尿や便には、当然高濃度の放射性ヨウ素が含まれることになる。これが下水に流れ、汚泥に溜まるというわけだ。


Wikipedia の「ヨウ素131」の項目によれば、

「日常的に輸送される下水汚泥がカナダ-合衆国国境で通過を拒否されたことがあるのは、医療用同位体としてのヨウ素131の使用が原因とされている。」

とのことで、医療用のヨウ素が下水汚泥に混じるのはほぼ確かなようだ。今回は長崎市も次のように説明している(上と同じ長崎市の資料)。

「今回検出された脱水汚泥中の放射性ヨウ素については、有識者の意見等を参考にすると、
放射性セシウムが検出されていないことから、福島第1原発事故の影響によるものではなく、医療目的に使用した放射性ヨウ素が患者の方から排出されたことが原因ではないかと考えております。」(上の長崎市のリンク)

結論としては、今回汚泥で検出されたヨウ素は医療用のものであると考えて良いだろう。なお、検出されているのはいずれも下水の汚泥であり、水道水ではないので安心して欲しい。


ちなみに、甲状腺ガンの治療のために投与される放射性ヨウ素の量は、team nakagawa によれば、37〜74億ベクレルとのことである。


※1 Wikipedia の「ヨウ素131」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%82%A6%E7%B4%A0131


at 09:56, greenlig, 放射線

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ベクレル→シーベルト計算機を作ってみました

記事の左側の部分に、ベクレルをシーベルトに変換するスクリプトを作ってみました。次のようなケースについて被曝量を計算することを想定しています。

セシウムがXXベクレル/キログラム入った米を1年間食べ続けたらいくら被曝するのか

・セシウムがYYベクレル/キログラム入った牛乳を200日間(学校給食の標準的な日数)飲み続けた子供はいくら被曝するのか


使用方法

 ・食品に含まれるキログラムあたりのベクレル数
 ・放射性物質の種類
 ・対象とする人(成人・幼児など)
 ・1日に摂取する量(グラム単位)
 ・摂取期間

を入力または選択して、「計算開始」ボタンを押してください。結果はミリシーベルト単位で表示されます。

たとえば、セシウム137が10ベクレル/キログラムの牛乳が小学校の給食で出る場合は、

 ・10ベクレル/キログラム
 ・セシウム137
 ・少年
 ・200グラム
 ・200日

を選択します。


計算式は次のとおりです。

  ベクレル数×実効線量係数×摂取量×摂取期間

 実効線量係数は、『緊急時における食品の放射能測定マニュアル』のものを使っていますが、セシウム137 の成人については、表中の数値が間違っているようなので、"1.3X10-5" に修正しています。

なお、この計算機は、「摂取期間」の間その食品を食べ続けた場合を想定しています。1回だけ摂取した場合の被曝量を計算するには、「1日」を選んでください。

また、計算結果は、「預託実効線量」(成人は50年間、子供は70年間にわたる被曝量の合計)です。年間の被曝量は、ここでの計算結果の数値よりも小さくなりますので、より「安全サイド」の数値と思ってください。

at 11:13, greenlig, 放射線

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ベラルーシと日本の放射能に対する感覚の差

 
福島や宮城で米の放射性物質の測定が始まっているが、当初心配されたほどの量は検出されていない。それでもある程度の量は検出されているわけで、不安に思う人も多いようだ。福島の米は不検出でも買わないという人すらいる。結局何ベクレルまでなら大丈夫なのかわからないことが不安の原因だ。


だいぶ前になるが、NHKスペシャルの『シリーズ 原発危機 第2回「広がる放射能汚染」』という番組が放送された(こちらで見ることができるようだ)。この中で、特に興味深かったのが、チェルノブイリ原発事故の影響を受けたベラルーシの様子だ(上記リンクの 40分ぐらいから)。

ベラルーシでは、測定環境が整っていて、汚染地域にあるほぼすべての学校に測定器が備え付けられており、誰でも無料で食品を検査できるそうだ。そこで、ある女性が、近所の農家からもらった野菜と牛乳を測定しに行くというものだ。

ベラルーシ1

ベラルーシ2

まず、1 つ確認できたことは、ベラルーシの牛乳の基準が 100 ベクレル/キログラムだということだ。日本の牛乳の基準値は 200 ベクレル/キログラムだが、べらぼうにゆるいというわけではなさそうだ。日本の基準値が暫定であることを考えれば、むしろ妥当なレベルだろう(そろそろ「暫定」ではない基準値を決めて欲しいところではあるが)。

これに対する測定者(おそらく物理の教師)と女性のコメントである。

ベラルーシ3

ベラルーシ4


驚いたのが「25.72 ベクレル/キログラムで安心」という感覚だ。日本では「1 ベクレルでもだめ」という風潮が蔓延しており、僕自身も暫定基準値の 1/10 程度を目安にしていたのだが、この女性がベラルーシでの一般的な感覚を持った人だとすれば、それすらも厳しすぎたということになる。頭をハンマーで殴られたような衝撃だ。


もうひとつ驚いたのが、測定器にカリウム 40 が 298.6 ベクレル/キログラムと表示されていることだ。これは天然放射性物質のひとつである放射性カリウム 40 のことだが、当然これも放射線を出す。放射性カリウムの実効線量係数はセシウム 137 の約半分なので、被曝量は約150ベクレルのセシウム137に相当する。つまり、この牛乳を飲んだ場合、

カリウム 40 からの被爆量はセシウム 137 からの被爆量の 6 倍近くになる。
(※)

前に、原発事故以前から天然の放射性物質をどのくらい食べているのか計算したが、やはり結構入っているという感想である。日本の牛乳にも同程度のカリウム40が含まれているのだとすれば、セシウムが 20 〜 30 ベクレル/キログラム程度なら、カリウム40からの被爆のほうが断然多いことになる。

宮城県の原乳の測定結果は、不検出になったり数ベクレルになったりと多少の上下を繰り返しており、そのたびに一喜一憂する人も多いと思うが、このベラルーシの女性の感覚や、天然放射性物質との比較が、ひとつの参考になるのではないかと思う。


それにしても、だれでも無料で測定できるとはうらやましい。日本でも早くこういった環境を整えて欲しいものだ。そうなれば、家庭菜園をやっている人や釣りを趣味にしている人なども、流通ルートに乗らない食品を安心して食べることができるのだが、そうなるのはいったいいつだろうか。


※ この牛乳を 1 Kg  (約 1 リットル) 飲んだ場合の被爆量は、

セシウム137から: 25.72*0.013 = 0.334 マイクロシーベルト
カリウム 40 から: 298.6*0.0062 = 1.85 マイクロシーベルト

(いずれも経口摂取、成人の場合)

at 16:04, greenlig, 放射線

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