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世界は変わってしまった

津波の被害を受けた亘理町のイチゴ農家が塩害にもめげずにイチゴ栽培に挑戦との記事が掲載された。本来なら、復興に向けてがんばっている人の記事として肯定的に受け止められるはずだ。しかし、ネットでの反応は正反対だ。収穫されたイチゴが放射能で汚染されるとの不安から(実際には土を使っていないので問題ないはずだが)、ネットには

「今すぐにやめろ 」
「犯罪者」
「キチガイ」


との書き込みがあふれている。何とも嘆かわしいことだ。

この現象は農業だけではない。漁業でも同じことだ。三陸の漁師の多くが津波で家も船も流され、ある者は借金をし、ある者は遠方から寄贈された中古船を使って、何とか漁を再開しようとしている。そういう人たちも同じように批判にさらされている。

しかし、被爆したくないからといって、わずかでも汚染された食品を出荷する生産者を非難するという考え方は、突き詰めれば、

「自分さえ助かれば農家や漁師なんか死んでもかまわない」


ということだ。

農家も漁師も生きていかなければならない。県の調査で基準値以下だとされ、東京電力や政府からの補償がない以上、野菜や魚を売るしかない。しかし、それ以上に、ここで農業や漁業の灯を途絶えさせてはいけないという使命感に燃えている。

放射能汚染は数十年から 100 年単位で続くことが予想されている。仮に東京電力や国からの補償があっても、いったん耕作を放棄した田畑は荒れ果て、次世代を担う若い農家や漁師は育たず、数十年後に再開しようと思っても再開は不可能になる。

「汚染された食品は政府が買い上げるべき」との意見もあるが、いくら国が買い上げてくれるからといって、廃棄されるとわかっているものをわざわざ作ろうという生産者はいない。短期的にはよくても、中長期的には産業が衰退してしまう。

「このままでは東日本の農業と水産業は壊滅する」

という思いで、農家や漁師はがんばっているのだ。


日本で生産できる食料の量は決まっている。誰かが西日本の食品を買えば、他の誰かが東日本の食品を買わなければならない。当然西日本の食品の価格は高騰し、品薄状態になる。スーパーに買い物に行くと、野菜の産地の混ぜ売りが増え、22 年産の米が消えかけているのがわかる。

外国から食糧を輸入するにしても、世界中の貧困層や、アフリカの大干ばつで飢餓に苦しむ人から食料を奪う行為につながりかねない。また、外国からの輸入食品に対するセシウムの基準値は 370 ベクレル/キログラムであり、特に欧州やロシアから入ってくる食品には東日本産のものと同程度の放射性物質が含まれている可能性もある。


復興のためを思って東日本の食品を買っている人は、被爆しても大丈夫という楽観論者がすべてではない。将来ガンになる危険が高まるかもしれないと知っていて、それでも地域のためを思って地元のものを食べている人もいる。

「子供を守るため」とは言っても、東日本の産業が壊滅すれば、その子供が大きくなったときの日本は、いったいどうなっているだろうか。仕事も食料もなく、三流国家となった日本で貧しい暮らしを強いられることにならないのだろうか。そう考えたとき、

大人は多少の汚染食品を食べるべきだとする京都大学の小出裕章氏の主張には、心を動かされるものがある。

最後に、小出氏の言葉を引用する。

3月11日を境にして世界は変わってしまいました。(中略)どんな食べ物も福島から放出された放射能で汚れてしまっているわけです。ですからその汚染した食べ物をどのように分配するのかという選択しか残されていません。」


「3月11日を境に世界は変わったのです。私たちがこの日本という国をどのようにつくっていきたいかということを考えたときに私はやはり一次産業を支えたいと思いますし、子どもには汚染の食品を食べさせたくないと思いますので、原子力をここまで許してきてしまった大人、放射能の汚染を許した大人がどうすべきなのかということを、やはり皆さんに考えて欲しいと思うし、考えるためのまず条件、ここまでどれがどれだけ汚れてるということを日本の国と東京電力にきちっと表示させるようにさせたいというのが私の願い、です。」


「被曝というのは必ず危険ですから、被曝に関して大丈夫とか安全とかいう言葉を使ってはいけません。ですから大人が、わたくしは大人に食べてくださいと言ってるわけなんですけれども。大人の人にとっても大丈夫なんていう被曝はありませんし安全な被曝はありません。ただ世界が変わっていってしまった以上それを引き受けるしかないと私は思っています。」


『7月20日 汚染食品の流通に反対しない真意 小出裕章
『今後解放されることはないセシウム汚染とその対策 小出裕章

※ 2011/9/8 タイトルと内容を大幅に書き換えて再公開

at 06:25, greenlig, 放射線

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コメント
フクシマさん, 2011/09/05 5:16 PM

とりあえず除染してから作ろうよ。

ニコニコ, 2011/09/30 1:07 PM

悪く言う相手を完全に間違えている。
汚染されて危険だけど、
被災地の人たちは
「そ・こ・で・し・か」仕事ができないそうだから、みんな我慢して食べてあげよう。
なんだ、たった4行ほどで言いきれるではないか。

greenlig, 2011/09/30 3:10 PM

いま、日本の食品や工業製品は、国際的な風評被害にさらされ、諸外国からボイコットされています。私は、そのような外国人の行動を見ると残念でなりません。本当は危険でないものや、福島原発から遠く離れた西日本の製品までボイコットするのは、やりすぎではないかと思います。「放射能を海外に輸出する日本人はみな犯罪者だ」と言われたら、日本人として腹が立ちます。

とおりすがり, 2011/10/17 2:51 AM

放射能の健康被害と復興支援は別に考えた方が良いだろうと思う。

あるTVのインタビューで農家は「作ったものは食べて欲しい。」しかし「自分等の孫には食べて欲しくない。」と言い悩んでいた。
風評被害も実害も東電へ請求し、国民の健康を守るべきだ。何も健康被害を拡張してまで
汚染された食物を摂取することはない。

健康被害が広まれば、今後医療費が国の財政を圧迫するだろう。

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