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自然放射能ふたたび

人工放射能は自然放射能よりも体に悪い」

という説がある。それはある程度は本当だ。だが、自然放射能なら安全かというとそういうわけでもない。ではその差はどの程度だろうか。以前も書いたが、わかりにくい話なのでもう一度説明する。

放射線はにたとえることができる。放射性物質は光を出す砂粒のようなものだ。この砂粒の中には、種類によって強い光を出すものと弱い光を出すものがある。たとえば、自然界にある代表的な放射性物質のカリウム40に比べて、原発から飛んできた人工のセシウム137は2倍強い光を出す(※1)。つまり、この2つに関して言えば、

「人工のセシウム137は天然のカリウム40よりも2倍危険」

ということになる。しかし、たかだか2倍である。自然放射線よりも人工放射線のほうが圧倒的に毒性が強いというわけではない。カリウム40を2ベクレル食べればセシウム137を1ベクレル食べたのと同じだけ被爆する。

人工放射能も自然放射能も体に悪い」

ということになるだろう。

われわれは、これまでもカリウム 40 をはじめとする天然の放射性物質を結構食べてきた。その量は年間 0.41 ミリシーベルトで、セシウム 137 に換算すると 1 日に 86 ベクレル分に相当する。人間の体は、この程度の被爆なら防御する力が備わっていると考えられる。(※2)

もちろん、追加でたとえば暫定基準値ぎりぎりの 500 ベクレルを摂取するとなると、自然の被爆よりもかなり増えるので、大丈夫とは言えないかもしれない。だが、1 日にすでに 86 ベクレルのセシウムに相当する天然の放射性物質を食べていることを考えれば、あと 20 〜 30 ベクレルぐらいなら体が耐えてくれるのではないかと思うのは、むしろ自然な考えだろう。


現在新米の放射性物質が話題になっているので、米の例で考えてみる。

たとえば、セシウムが 50 ベクレル入った玄米があるとすると、精米することで放射性物質は 1/3 に減るので (こちらの資料の表3-1-24)、白米にすると 17 ベクレルになる。白米には元々 33 ベクレル程度の天然のカリウム 40 が含まれているから(※3)、セシウムからの放射能の強さとカリウムからの放射能の強さがちょうど同じということになる。つまり、放射能の強さは、原発事故前の 2 倍になったということだ。

これを「2 倍にもなった」と思うのか「2 倍にしかなっていない」と思うのかは各人の考え方次第だが、いずれにしても、たとえセシウムがゼロだとしても被爆量がゼロにならないことは確かだ。



※1「2倍」としている根拠は、実効線量係数が約2倍であることだ。実効線量係数では、核種ごとのエネルギーや物理的半減期に加えて、各臓器への影響度合い、生物学的半減期が考慮されている。


※2 もちろん、この自然被爆がガンの一因になっているという可能性はあるが、少なくとも原発事故以前は話題になっていないことから、主な要因ではないと考えるのが妥当だろう。


※3 Wikipedia の「カリウム40」の項目
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A040

9/11 内容を修正して再公開

at 16:37, greenlig, 放射線

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