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報道ステーションが流したデマ「卵から60ベクレルの放射能」


「卵から60ベクレル検出で卵もアウトになった」


との話がネット上を流れている。この話の出所を見ると、どうやら報道ステーションのようだ。こちらで動画を見ることができる。

この報道には、次の2つの間違いと不正確な点がある。

1. ウクライナの基準についての誤解
2. 測定機器の精度


番組ではまず、養鶏場の男性が持ち込んだ卵の測定結果が 60 ベクレルだと伝えた。そして、ウクライナの基準は 6  ベクレルだと言う。ウクライナの基準の 10 倍もあるから、とんでもないということらしい。

しかし、画面に写った測定結果の紙を見ると、単位が Bq/Kg になっている。つまり1キロあたりのベクレル数だ。これに対してウクライナの基準は卵1個あたりの基準値だ (こちらの動画の14分40秒あたりと、こちら)。卵1個が 50 グラムだとすれば、ウクライナの基準は 120 ベクレル/Kg となる。つまり、今回の測定結果である 60 ベクレルは、ウクライナ基準の 2 分の 1 しかなく、安全だと言えるレベルだ


さらに、測定機器の問題がある。測定を行った「市民放射能測定所」が使用しているのは LB200 (値段は 100 万円ほど) という機器のようだが、これは、言ってみれば線量計を鉛で囲った簡易測定器で、国や地方自治体が使用している 2,000 万円もするようなゲルマニウム半導体検出器と違い精度も低い (※)。

この測定機器では放射性核種を区別できないから、食品に含まれているのが、人工放射性物質なのか天然放射性物質なのか区別できない。そのため、カリウム40 などの天然の放射性物質を含んだ値になる点も差し引いて考える必要がある。測定値 60 ベクレルのうち、セシウムの分がどれだけなのかわからないのだ。すべてがカリウムという可能性もゼロではない。番組中で「セシウム」という言葉が出てこないのはそのためだろう。この点についても何も説明がなかった。

政府や自治体の放射能測定が不十分であるという現状を踏まえれば、市民放射能測定所の活動自体は評価できるが、使っている機器の精度には限界がある。その測定結果は、国や自治体から発表される高い精度の数値よりも大ざっぱなものだということを念頭に置く必要がある。たとえて言えば、

ケーキを作るときに小麦粉や砂糖の量を体重計で計量するようなものだ。

ケーキを作るときには計量がとても重要だ。大ざっぱな量しかわからない体重計で材料を計量しても、いちおうケーキらしきものはできるが、うまく膨らまなかったり、作るたびに味が変わってしまうだろう。それがその測定器の限界である。


こういう間違った報道で卵が売れなくなることが心配だ。そうなったらテレビ朝日は責任を取るのだろうか。


※ この機器が使用している NaI シンチレーションによる測定方法は、国の『緊急時における食品の放射能測定マニュアル』では、より正確な測定を行うべきかどうかを判断するための第一段階の測定と位置付けられている。LB200では鉛で囲うことでバックグラウンドを排除しようとしているが、国のマニュアルではバックグラウンドの平均値を測定結果から引くこととなっており、原理的には同じことである。

at 16:30, greenlig, 放射線

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