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ベラルーシと日本の放射能に対する感覚の差

 
福島や宮城で米の放射性物質の測定が始まっているが、当初心配されたほどの量は検出されていない。それでもある程度の量は検出されているわけで、不安に思う人も多いようだ。福島の米は不検出でも買わないという人すらいる。結局何ベクレルまでなら大丈夫なのかわからないことが不安の原因だ。


だいぶ前になるが、NHKスペシャルの『シリーズ 原発危機 第2回「広がる放射能汚染」』という番組が放送された(こちらで見ることができるようだ)。この中で、特に興味深かったのが、チェルノブイリ原発事故の影響を受けたベラルーシの様子だ(上記リンクの 40分ぐらいから)。

ベラルーシでは、測定環境が整っていて、汚染地域にあるほぼすべての学校に測定器が備え付けられており、誰でも無料で食品を検査できるそうだ。そこで、ある女性が、近所の農家からもらった野菜と牛乳を測定しに行くというものだ。

ベラルーシ1

ベラルーシ2

まず、1 つ確認できたことは、ベラルーシの牛乳の基準が 100 ベクレル/キログラムだということだ。日本の牛乳の基準値は 200 ベクレル/キログラムだが、べらぼうにゆるいというわけではなさそうだ。日本の基準値が暫定であることを考えれば、むしろ妥当なレベルだろう(そろそろ「暫定」ではない基準値を決めて欲しいところではあるが)。

これに対する測定者(おそらく物理の教師)と女性のコメントである。

ベラルーシ3

ベラルーシ4


驚いたのが「25.72 ベクレル/キログラムで安心」という感覚だ。日本では「1 ベクレルでもだめ」という風潮が蔓延しており、僕自身も暫定基準値の 1/10 程度を目安にしていたのだが、この女性がベラルーシでの一般的な感覚を持った人だとすれば、それすらも厳しすぎたということになる。頭をハンマーで殴られたような衝撃だ。


もうひとつ驚いたのが、測定器にカリウム 40 が 298.6 ベクレル/キログラムと表示されていることだ。これは天然放射性物質のひとつである放射性カリウム 40 のことだが、当然これも放射線を出す。放射性カリウムの実効線量係数はセシウム 137 の約半分なので、被曝量は約150ベクレルのセシウム137に相当する。つまり、この牛乳を飲んだ場合、

カリウム 40 からの被爆量はセシウム 137 からの被爆量の 6 倍近くになる。
(※)

前に、原発事故以前から天然の放射性物質をどのくらい食べているのか計算したが、やはり結構入っているという感想である。日本の牛乳にも同程度のカリウム40が含まれているのだとすれば、セシウムが 20 〜 30 ベクレル/キログラム程度なら、カリウム40からの被爆のほうが断然多いことになる。

宮城県の原乳の測定結果は、不検出になったり数ベクレルになったりと多少の上下を繰り返しており、そのたびに一喜一憂する人も多いと思うが、このベラルーシの女性の感覚や、天然放射性物質との比較が、ひとつの参考になるのではないかと思う。


それにしても、だれでも無料で測定できるとはうらやましい。日本でも早くこういった環境を整えて欲しいものだ。そうなれば、家庭菜園をやっている人や釣りを趣味にしている人なども、流通ルートに乗らない食品を安心して食べることができるのだが、そうなるのはいったいいつだろうか。


※ この牛乳を 1 Kg  (約 1 リットル) 飲んだ場合の被爆量は、

セシウム137から: 25.72*0.013 = 0.334 マイクロシーベルト
カリウム 40 から: 298.6*0.0062 = 1.85 マイクロシーベルト

(いずれも経口摂取、成人の場合)

at 16:04, greenlig, 放射線

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コメント
名無し, 2011/09/06 4:20 PM

セシュウムとカリュウムで内部被曝の実行線量を測る場合
なぜ、生物学的半減期の差に考慮されないのですか?
カリュウムは生物学的半減期は概ね30日で
セシュウムは生物学的半減期は70から100日ですよ
セシウムは倍以上留まりますよ

事故由来のその他核種+セシウム+カリュウムで通常受ける内部被曝の量が自然界に通常あったものより極端に上がってしまうのが、問題なのではないでしょうか?

greenlig, 2011/09/06 4:43 PM

>なぜ、生物学的半減期の差に考慮されないのですか?

実効線量係数は、生物学的半減期の違いを考慮して決められていると理解していますが、違っているようでしたらご指摘ください。

icchou, 2011/09/11 6:58 AM

気が付きにくい貴重な情報をありがとうございます。
本題から外れて恐縮ですが、私もカリウム40の含有量を調べていたのですが、以下の2つ位しか見当たりませんでした。ご存じかも知れませんが参考までに。
http://www.atomin.go.jp/reference/radiation/familiarity/index03.html#familiarity06
http://www.kangenkon.org/shiraberu/houshasen/frame10.htm

greenlig, 2011/09/11 3:01 PM

icchou 様

情報ありがとうございます。教えていただいたページは知りませんでした。ベラルーシの例ほどではないものの、いろいろな食品に少しずつ含まれているようですね。カリウム40の存在については、一般にはあまり知られていないようなので、以前書いた記事の内容を若干修正して再公開しました。

http://greenlig.jugem.jp/?eid=33

YTT, 2011/09/15 11:09 AM

私もそのNHKの番組をみて、25ベクレルの値が頭に残っていました。
カリウムの方は気づかなかったです。
ありがとうございました。
日本では対策はまだ十分とはいえないものの、いろいろ選択肢があるので、非常に恵まれていると思います。そのために余計に神経質な意見が出るのでしょうけれど・・・

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障害報告@webry, 2011/09/21 1:56 AM

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