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内部被曝は外部被曝の何倍?(その2)

「年間 1 ミリシーベルト」というのは、今や誰でも知っている言葉だ。これは原発事故前から日本の法律で決まっている一般人の年間被爆限度であり、その基になっているのは、ICRP (国際放射線防護委員会) の勧告である。

ICRP は民間の組織だが、このように日本をはじめとする世界各国の法令の基になっていて、国連や WHO とも関係があるなど、原発推進派寄りだという批判はあるものの、現在主流となっている考え方だ。前回の説明で使った考え方や数値も、ICRP の勧告に基づいている。

ICRP では、同じ被曝量(シーベルト)の場合、内部被曝と外部被曝の危険度は同じという考え方をしている(※1)。つまり、

「内部被曝の1ミリシーベルトは外部被曝でも1ミリシーベルトであり、ガンになるリスクも同じ」


ということだ。シーベルトという単位は、体が受けるダメージを数値化したものなので、当然と言えば当然だ。


これに異を唱えているのが ECRR (欧州放射線リスク委員会)という団体だ。ECRR の主張は、

「内部被曝のリスクは外部被曝のリスクの 600 倍あり、ICRP が言っていることはウソだ」


というものだ。どうやら、「内部被爆は外部被曝の XX 倍危険」という説はここから来ているようだ。

ECRR は、ICRP を批判するために設立された比較的新しい団体であり、その主張は世界的には少数派だ。また、いわゆる左翼とされる緑の党と関係があるなど、科学的というよりは思想的であるとして批判されている。日本の政党にたとえれば、ICRP が自民党なら ECRR は社民党といったところだろうか。

ECRR が内部被曝に重みを置く根拠の 1 つとして「内部被曝では細胞が近距離から局所的にダメージを受ける」ということを挙げているが、ICRP ではそれを否定しているようだ(※2)。


一般人である私には、双方の勧告を読んでも内容を理解できないし、ここでどちらが正しいと主張するつもりもない。ただ、「内部被曝は外部被曝よりXX倍危険」という説は、少なくとも現時点では1 つの仮説に過ぎないということは言えそうだ。



※1  『放射性物質による内部被ばくについて』に以下のように記載されている。

「このように内部被ばくによる線量と外部被ばくによる線量とを加算することが可能なのは、LNT モデルと、外部被ばくと内部被ばくは線量が同じであれば同じリスクであるという前提に基づくからである。」


※2 上と同じ文書に以下の記述がある。

「このような場合、放射性粒子の周囲の線量が細胞死を誘発する線量を何倍も超える高い値となる可能性があり、却ってがん化のリスクが低下する。また、その放射性粒子と同じベクレルの放射性物質が均一に分布している臓器・組織よりもリスクを考慮すべき放射線を受けた細胞の数が少なくなることから、ICRP は、’”ホットパーティクル”によるがんの発生確率は、平均吸収線量からの推定と同じかそれよりも低いと考えている。」

要約すると、「局所的に被爆すると、DNA が破壊されるのではなく細胞が死ぬので、かえってガンになりにくいと」いうことらしい。

at 09:46, greenlig, 放射線

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コメント
coco, 2011/10/12 10:45 AM

> 「局所的に被爆すると、DNA が破壊されるのではなく細胞が死ぬので、かえってガンになりにくいと」

難しいですね〜。
"ガンにならず死んでしまう部分"はガン以外の障害をもたらさないでしょうか?
"ガンにならず死んでしまう部分"のまわりは、"死なない程度の被曝"をしているのではないでしょうか?

すみません。悪い方にばかり話を持っていきたいわけではなくて、本当のことを知りたいからいろいろな可能性を考えているだけなんですけど。
でも結局、本当のところはまだ誰にもわかっていないのですよね。まどろっこしいなぁ…

chicken, 2011/11/19 4:38 AM

私は、内部被曝に詳しい東大の児玉先生の話を見聞きする限りでは、内部被曝と外部被曝の線量を同一のものとしてはみれらなさそうに感じています。
cocoさんのコメントのように、死なない程度の細胞が相当数あると思うし、その細胞の中の遺伝子がかなり傷つくことによる遺伝子変異によってガンやその他の疾病が起こる確率が高くなるのだと思います。

greenlig, 2011/11/19 1:29 PM

chicken さんへ

児玉教授については、国会の委員会での説明を拝見する限り、非常に熱意を持った方だと感じました。遺伝子についての話は、専門用語が多く、私には難しすぎて理解できませんでした。そこでは主に政府の対応を批判されていたと思いますが、ICRP のモデルも批判されているのでしょうか(著書等は読んでいません)。

矢ヶ崎氏や ECRR が主張している近距離からの遺伝子の破壊については、話を聞けば「なるほど」とは思うのですが、もしそれが誰が見ても正しいのなら、なぜ学会や国際機関で認められ、各国の法令に取り入れられないのかという疑問が生じます。世界中の学者や研究者のほとんどが国や企業に買収されているとは思えないのです。

将来的に新しい学説が主流になる可能性はあるかもしれませんが、現時点では世界中の学者の多くが妥当だと考えているモデルを基盤にする意外にないというのが、素人である私の意見です。

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